鳥海山を背に日本海に開けた塩越湊は大澗、小澗、鰐渕の総称です。なかでも最大の大澗沖には千石船が12艘も碇泊でき、船と陸を結ぶ艀船が行き交っていました。沖には船を係留した棒杭が残っており、往時を偲ばせています。塩越港から米が大坂や松前へ運ばれるとともに、塩、海産物、砂糖、織物などが運び込まれました。また、にかほ市には塩越港のほか、金浦、三森、平沢にも寄港しました。塩越港の周辺には11の神社があり、それぞれに船絵馬が残っています。
秋田県 にかほ市
にかほ市の構成文化財
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象潟郷土資料館 北前船関係資料
北前船と塩越湊などが描かれた「紙本着色象潟図屏風」、北前船が使用した「四爪碇 」 など。
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由利南部海岸図
本荘由利地域南部の海岸図で、北前船寄港地の金浦湊、三森湊、平沢湊が描かれている。
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沖の棒杭
北前船が沖に碇泊する際に利用した石の杭
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塩越湊周辺の船絵馬群
北前船の船主や船乗りたちによって奉納された約 130 点の船絵馬。「永久丸」の船絵馬は秋田県最古。
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金刀比羅神社の絵馬
北前船の船乗りたちが航海安全を祈願して奉納したまげ絵馬。
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日枝神社の山王鳥居と山王猿像
北前船の廻船問屋・中津屋が寄進した鳥居と船頭井口が奉献した対の猿像。
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飛良泉本舗
北前船の廻船問屋と酒造業で財を成した酒の蔵元。貴重な北前船関係資料が遺っている。
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高昌寺弁天丸
明治初期の典型的な北前船の模型。秋田藩の御用船を高昌寺住職が救助したために贈られた由来がある。
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にかほ市内の方角石
日和山にある方位が刻まれた石で、北前船の船乗りたちが出港前に天候を判断した。